必ずチェック

未成年者

・保護者には「同意権」「代理権」「取消権」「追認権」がある

・未成年者が単独でできる行為が3つある

成年被後見人

・保護者には「同意権」がない

・成年被後見人が単独でできる行為は「日用品の購入その他日常生活に関する行為」のみ

 

単元の学習法

未成年者は、例外にあたる3つの単独でできる行為をしっかり覚えるようにましょう。
民法などの法律は、「原則」と「例外」のオンパレードです。
原則を覚えるのはもちろんですが、試験でよく問われるのは例外の方だったりするので、例外も押さえておく必要があります。

成年被後見人は、成年後見人に同意権がないという部分が引っかけ問題のように出題されることがあります。
覚えるべきもの自体は少ないですので、ポイントをしっかり確認して得点できるようにしましょう。

 

ポイント講義

未成年者

未成年者の保護

未成年者が法律行為を行うためには、原則として、法定代理人の同意を得なければなりません。
法定代理人は「親権者」または「未成年後見人」です。
未成年後見人というのは、親権を持つ者がいない場合に未成年者の養育等をする者のことです。

中高生の頃、スマホの契約をしたいとか、持っているゲームソフトを売ろうと考えたときに保護者の同意が必要だった、という経験をしたことがあるのではないでしょうか。
未成年者は、その「同意」があってはじめて法律行為をすることができます。

同意がなく行われた場合は、法定代理人が取り消すことができます

販売店などは取り消されるリスクがあるので、未成年者と取引をする場合に同意書の提出をもとめているわけです。

また、法定代理人には「代理権」「取消権」「追認権」があります。
2歳児の名義で預金通帳を作る場合、その児童が作れるはずもないので親が代わりに作ります。
これがいわゆる「代理」という制度です。

未成年者は法律行為の大半が制限されている、ということになります。
しかしその分、手厚く保護されているのです。

単独でできる3つの行為

未成年者でも「単独で」することができる行為が3つあります。
つまり、この3つの行為に限って行為能力があるのです。

1 単に権利を得るだけ、または義務を免れる法律行為
2 法定代理人が処分を許した財産の処分行為
3 法定代理人から営業を許された場合の、その営業に関する行為

1の例は「贈与契約」です。
(単純)贈与は何かをもらう契約なので、不利益を受ける可能性がありません。

2の例は「お小遣い」です。
1000円のお小遣いをもらったとして、それの全てを親が管理する(250円はお菓子、500円は本代、残りは貯金・・・)なんてことはありえないですよね。
お小遣いとしてあげたお金は自由に使っていいですよ、という規定です。

3は、親の許しがあれば一定の範囲の営業についてはプロとして活動できるくらいの意味です。
プロとして活動する以上、親がいちいち同意をしなくてもいいだろう、という判断です。

 

成年被後見人

成年被後見人は事理を弁識する能力を「欠く常況」にある者なので、自分で法律行為をすることができません。
ですので、基本的には法定代理人である成年後見人が、成年被後見人を代理して法律行為をすることになります。

自分で法律行為をすることができないので、いくら法定代理人が同意をしていたとしても、それ通りに法律行為をすることができない可能性が高いです。
したがって、同意を得ていた法律行為であっても取り消すことができます

つまり、他の制限行為能力者と違い、成年後見人には同意権がないのです。
「成年被後見人」の問題では「同意」の語が出てきている場合は要注意です。

ただし、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」については成年被後見人が単独ですることができます。
生活の根幹に関わるような行為にまでいちいち制限するのはおかしいというのが理由です。

少し細かい論点としては、成年被後見人が住んでいる自宅の売却等に関する問題があります。
法定代理人がこの売却等を勝手にすることができるとなると、成年被後見人に大きな不利益が生じます。
そこで、この行為をするには家庭裁判所の許可を得なければなりません。
この許可なく行われた契約は無効になります。

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